マイコプラズマという言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
実はマイコプラズマは、学童期の肺炎の原因第1位の身近な病原体なのです。
実際に学校や職場でも流行することは珍しくありません。
しかし、インフルエンザ程はあまり知られておらず、あまり聞き慣れないマイコプラズマという診断をされて不安になる方もいるのではないでしょうか。
今回、そのマイコプラズマとはなんなのかということと、風邪との違いをご紹介します。
【マイコプラズマは「病気」を引き起こす「病原体」の名前】
「診断はマイコプラズマです」と医師から言われると、なにやら難しい病気にかかってしまったのかと不安に思うかもしれません。
そもそもマイコプラズマとはなんなのでしょうか。
マイコプラズマとは「病気」そのものではなく、病気を引き起こす「病原体」に当たります。
マイコプラズマが引き起こす症状は、発熱、乾いた咳が多く、いわゆる風邪(正確には上気道炎)で終わってしまうことも多いです。
そのため、過度に心配しすぎることはありません。
昔は4年に一度、秋から冬にかけて流行する感染症のひとつでしたが、今では季節に関わらず、毎年流行しています。
6歳以上の学童がかかることの多いですが、6歳未満でも周囲にマイコプラズマの方がいれば、もちろんかかるおそれは充分にあります。
【風邪との違い1:治るのに時間がかかる】
風邪と少し違う特徴を3つご紹介します。
一つ目は、マイコプラズマは風邪よりも熱や咳が長めであるということです。
マイコプラズマはのどよりさらに奥にに炎症を起こすことが多く、気管支炎や肺炎になることがあります。
肺炎といっても、入院が必要な重症なものから、飲み薬だけで治ってしまう軽いものまであるため、肺炎=命に関わると心配しすぎる必要はありません。
ただし、1週間以上も熱が下がらないことや、咳が2~4週間もなかなか治らないということもあります。
【風邪との違い2:感染力が強い】
二つ目は、マイコプラズマは風邪よりも感染力が強いということです。
時に学校で大流行することもあります。
マイコプラズマは飛沫感染といって、咳やくしゃみなどのしぶきを通して周囲の人に感染しやすいため、マスクや充分な手洗いなどが予防に重要です。
【風邪との違い3:全身の臓器がダメージを受けることがある】
三つ目に、非常にまれではありますが、気管・肺以外の全身の臓器がダメージを受けることがあります。
例えば、皮膚、肝臓、心臓、脳などがダメージを受けます。
これはマイコプラズマが人間の免疫を異常に活性化させ、その免疫により全身の臓器が間接的にダメージを受けるものと一部では考えられています。
ただし、脳がダメージを受けて脳炎になるなど重篤な状態になることは極めてまれであり、通常は自然に治癒する場合がほとんどです。
小児科オンラインはこれからもお子さんの感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 西健太朗)
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