小児科オンラインジャーナル

2018.06.26

子どもの長引く鼻水、これって抗菌薬が必要な副鼻腔炎?

「黄色い鼻水が出て、なかなか治りません」「もう数ヶ月も鼻水が出続けています」といった相談は、保護者の方からとてもよく寄せられます。今回は長引く鼻水と副鼻腔炎の関係についてお伝えしようと思います。

【就学前の子どものアレルギー性鼻炎はあまり多くありません】

鼻水が長引くと、「何かのアレルギーなのでは?」と心配になるかもしれません。しかし子どものアレルギー性鼻炎はそれほど多くなく、就学前の子どもに関してはせいぜい10%程度と言われています。アレルギーによる鼻水は、透明でスルスル流れ出るという特徴があります。色のついたドロドロとした鼻水が続いているような場合は、アレルギーの可能性は低いと考えてよいでしょう。

【鼻の穴の奥で細菌が増殖すると副鼻腔炎になります】

鼻水が長引くと、副鼻腔炎と診断されることがあります。鼻の穴(鼻腔)のさらに奥に、副鼻腔と呼ばれる空間があります。風邪をひき、ウイルスによって鼻の粘膜の抵抗力が弱まると、もともと鼻の中でおとなしくしていた細菌が増殖をはじめ、副鼻腔に入り込んで炎症を起こすことがあるのです。これが副鼻腔炎です。

高熱が出て、膿のような鼻水が出るのが特徴です。

副鼻腔炎は細菌が原因であるため、抗菌薬による治療が効果的です。

【子どもの長引く鼻水で抗菌薬が必要なのは限られた場合】

ただし、小さい子どもの副鼻腔は未発達なため、大人のように副鼻腔炎を起こすことは少ないと言われています。そのため、鼻水が長引くからといって安易に抗菌薬を使用せず、風邪症状が10日以上続く、一度良くなった症状がぶり返す、といった一定の条件のもとでのみ副鼻腔炎として治療しましょう。この考え方が現在の主流となってきています。副鼻腔炎を起こしていない風邪はただのウイルス感染ですから、なおさら細菌にしか効かない抗菌薬は意味がありません。

小児科オンラインはこれからも鼻の病気に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 石井道人)



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