小児科オンラインジャーナル

2018.10.30

マイコプラズマの正しい治療~抗菌薬の考え方~

マイコプラズマと診断されたけれど薬を処方されなかった、抗菌薬を処方されたけれどなかなか症状がよくならない、といったお話を聞くことがあります。

それらはどういうことなのでしょうか。

お薬は、効果と副作用のバランスが重要ですが、マイコプラズマにおいても同様です。今回はそれらを踏まえて、マイコプラズマにおける抗菌薬の治療をご紹介します。

【マイコプラズマは抗菌薬を使わなくても治る】

はじめに、マイコプラズマは抗菌薬を使用しなくても、自分の免疫力で通常は治癒します。しかし、気管支炎・肺炎など、症状が悪化した際は、抗菌薬の力を借りてマイコプラズマをやっつけてあげることが必要な場合もあります。

【マイコプラズマでまず使用するのは「マクロライド系抗菌薬」】

注意しなければいけないことは、マイコプラズマに効果のある抗菌薬は限られていることです。マイコプラズマは、どんな抗菌薬でもよいというわけにはいきません。一般的には、マクロライド系という抗菌薬を第一に使用します。

マクロライド系抗菌薬の代表的な商品は、クラリス、エリスロシン、ジスロマックなどです。

マクロライド系抗菌薬は効果があると非常に効きが良いことが特徴です。

【マクロライド系抗菌薬が効かないマイコプラズマがいる】

最近になってマクロライド系の抗菌薬が効かないマイコプラズマが新たに出現していることが問題となっています。これを「耐性」を持ったマイコプラズマと言います。

その場合は、ニューキノロン系、テトラサイクリン系といった抗菌薬を使用します。これらは、昔は年齢によって骨の発育の問題や歯が黄色くなるなどの副作用が指摘されていたことから少し使いづらい薬でした。

最近はこういった副作用は薬の改良に伴い、軽減していますが、使用にはメリット・デメリットを主治医と相談して使用することが望ましいと思われます。

通常、マクロライド抗菌薬を内服してから48時間経過しても解熱しない場合は、耐性マイコプラズマを考え、かかりつけ医に再度受診をしてもよいかもしれません。

小児科オンラインはこれからもお子さんの感染症・薬に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 西健太朗)



便利でお得なキッズリパブリックアプリのダウンロードはこちら。

小児科オンラインジャーナル一覧へ戻る