小児科オンラインジャーナル

2019.11.26

リンゴ病:子どもは心配無用、妊婦は要注意

「リンゴ病」をご存知でしょうか?頬がリンゴのように赤くなることが特徴的な感染症の一つです。伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)とも呼びます。年長児を中心に子どもが多くかかります。広い意味では、風邪の一種です。ヒトパルボウイルスB19というウイルスへの感染で発症します。子どもが感染した場合、重症になることはまずありません。特効薬や予防接種もありません。
ただし、妊娠中の方は注意が必要です。

■頬が赤くなる頃には感染力は無くなっている

リンゴ病の典型的な経過としては、

(1)数日間の微熱や咳、鼻の風邪症状
(2)頬が赤くなる
(3)手足に網目状の赤い発疹が出現

といった順番で症状が出ます。たいていは、(2)の時点で発見され、診断されることが多いと思います。人にうつしやすい時期は、(1)の風邪症状の時期です。(2)の頬が赤くなった時期はすでに回復期であり、全身状態が良好であれば集団生活への制限も特にありません。そのため、小児科を受診しリンゴ病と診断されても、そのまま学校や保育園に行ける、というケースも多いです。

リンゴ病が重症化することもまずありません。お子さんが診断されてもあまり心配する必要はありません。

■ただし妊婦は要注意

リンゴ病は基本的に重症となる心配のない感染症ですが、注意点が一つあります。それは妊婦への影響です。妊娠中に初めて妊婦がリンゴ病にかかった場合、お腹の赤ちゃんに胎児水腫(たいじすいしゅ、胎児の胸部や腹部に水がたまったり全身がむくんだりする状態)や流産をもたらす可能性があります。国立感染症研究所によると、リンゴ病に対する日本人妊婦の抗体保有率は、20~50%とされています。これは抗体のない残りの半数以上の方々は妊娠中に初めてリンゴ病にかかる可能性があることを示しています。特に妊娠28週未満の妊婦の初感染が注意とされています。

■予防は手洗い

さきほど書いた通り、リンゴ病の感染力が強い時期は(1)の風邪症状期で、他の風邪との区別は困難です。妊婦さんは、なるべく風邪症状のある子どもには近づかない、そしてよく手を洗って感染予防をすることを心がけてください。もし、ご自身にリンゴ病の症状が出た場合やリンゴ病のお子さんと一緒に過ごした場合は、妊婦健診のときにそのことを産婦人科の先生に伝えるようにしてください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 橋本直也)



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