「目が合わない」、「目が合っても笑わない」、「動くものを目で追わない気がする」など、赤ちゃんの「目」に関するご相談は多く寄せられます。今回は、赤ちゃんの生後6ヶ月までの「目の発達」で、おさえておきたい4つのポイントについて、お伝えしたいと思います。
■(1)赤ちゃんの視覚は生後6ヶ月頃までに急激に発達
生まれたばかりの赤ちゃんは、視線も定まらず、視力も弱く、ごく近い人やものを短時間ぼんやりと見ることしかできません。また色や輪郭を正確に把握できず、いわゆる「ピンボケしたモノクロの世界」が、赤ちゃんの目に最初に映る世界です。それが、様々なものを見て目を使うことで物の見方を学習し、何年もかけて大人と同じようなものを見る機能を獲得していきます。一般的に生後3~4週間経つと、自分に話しかける人の顔をみつめるようになり、生後4~6週間頃には、話しかけてくる人に微笑みを返すようになると言われています。(発達には個人差も大きく、笑わないからといって、それだけで必ずしも発達に問題があるという判断にはなりません。)
生まれて間もない新生児の目は、お互いバラバラに動きますが、生後2ヶ月頃から目の位置が安定し、ピントを合わせてものを見ることや、動くものを追いかけるなどの目の動きが発達してきます。この左右の目を同時に使う機能を「両眼視」と言い、生後6週間頃から始まり、生後4ヶ月頃までには概ね完成すると言われています。これによって遠近感や立体感がわかるようになり、アイコンタクトを取れるようになったり、ものを目で追えるようになります。動いているものを目で追うことを、医学的には「追視(ついし)」といい、生後2ヶ月頃始まり、生後6~7ヶ月頃には、上下左右両方向に動くものを目で追えるようになると言われています。
■(2)視覚の発達は人それぞれ
とはいえ、上述したのはあくまで目安の時期です。視覚の発達のスピードにも個人差があり、発達がゆっくりだった赤ちゃんが、最終的には正常の視力に落ち着いたという報告もあります。発達に悪影響を及ぼす目の異常などがないか日々注意深く観察しながら、赤ちゃんの澄んだ瞳を見つめて、微笑みかけたりして、赤ちゃんの見せる新しい反応に目を向けてみましょう。
■(3)視覚の発達にとても大切な時期(視覚感受性期)には日々の観察が大切
特に、視力の発達への感受性が高い時期(視覚感受性期)に、目に何らかの異常をきたすと、「見る機能」に悪影響を及ぼす可能性がありますので、注意が必要です。目の異常は、発見が早ければ早いほど治療が有効なため、見逃さないためにもおうちでの日々の観察が大切です。
■(4)おうちでまず試してみて欲しいこと
もし生後3ヶ月をすぎても、目が合わなかったり、ものを目で追えていないなと感じる時は、次のことを試してみましょう。
・ものの位置が遠すぎるかもしれないため、少し近づけてみる
・ものの色がわかりにくいかもしれないので、はっきりした色にしてみる
・ものの動かし方が早すぎるかもしれないため、ゆっくりにしてみる
これらのことを試してみても、見えていない様子であれば、早めに小児科や眼科を受診した方が良いでしょう。
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(小児科医 西澤和子)
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