感染症にかかりたくないのはみなさん共通の願いだと思います。その中で、お子さんにできる限りのことはしてあげたいというお気持ちもよくわかります。
今回は、街中でもよく見かけるマスクについてお伝えします。
■ウイルス単体はマスクの網目よりはるかに小さく、マスクを通過します
標準的なマスクの網目は5マイクロメートルです。ウイルスの大きさは、0.03-0.1マイクロメートルです。ウイルスはマスクの網目よりもはるかに小さいのです。そのため、マスクをつけていてもウイルス単体はマスクの網目を通過します。
ただし、実際に空気の中をウイルスだけで浮遊している状況はほとんどありません。
■マスクが防ぐのは飛沫の中にいるウイルスです
マスクが防ぐことができるのは、飛沫です。飛沫とは、人の咳やくしゃみ、会話中のしぶきのことです。この飛沫の中にウイルスがいて、人から人にうつります。飛沫の大きさは5マイクロメートル以上です。マスクの網目は、この飛沫より細かいので、飛沫が周囲に飛び散ることを防ぎます。
■マスクは症状がある人が着けるべきです
マスクを着用すべき人は、風邪の症状があり、飛沫を飛びちらせる可能性のある人です。
症状はなく予防的にマスクを着用することの意義に関しては、有効とする確証はありません。
そもそも飛沫なしには感染しないので、飛沫をあびる可能性のない状況ではマスクを予防的に着用する意味はありません。
また、飛沫をあびうる状況にいたとしても、マスクは正しく使用しないと無意味です。
正しく使用するための主な注意点として
・マスクをつけたり外したりしない
・マスクの外表面を手で触らない
・マスクから鼻を出さない
・顔とマスクの間に隙間があってはいけない
・マスクを下げて顎につけない
などが挙げられますが、お子さんがこのような注意点を守って正しくマスクを着用し続けるのはなかなか難しいと思います。
マスクは、症状がある人が着用し、飛沫を飛び散らせないようにするためのものです。
予防的な着用は、特に正しい使い方のできないお子さんの場合、効果はあまり期待できません。
予防のために一番重要なことは、とにかくしっかり石鹸を使用して流水で手を洗い、アルコール消毒をすることです。
有効とわかっていることに力を入れて、感染症を予防していくべきだと思います。
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(小児科医 橋本直也)
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