きょうの診察室

Vol.04

インターネット

こどもの病気にはいろいろありますが、なかには、けいれんや心臓の奇形、川崎病など、一部の患者さんで、多くはないけれど場合によっては重篤な後遺症を残すものも存在します。

私たちはもちろん、ある程度は「悪い場合」も想定して家族にお話をします。
そこで、お伝えするようにしていることがあります。

「お父さん、お母さん、もしもインターネットでいろいろ調べたくなって、いろいろ調べたときに、お願いしたいことがあります。いろんなことが書いてあって、とても不安になることがあるかもしれません。そんなときこそ、考え込まずに、どんな小さなことでもこれは本当かどうかと、尋ねてください。なんでも、同じことをなんど聞かれても、よろこんで答えます」

3割くらいの親御さんは「そうなんです、実はもうすでに、、」と相談してくれますが3割くらいの親御さんは「それで、調べないようにって、努力をしているんです」と涙を浮かべて話してくれます。

私だったら、大切な人が病気になったらきっとネットで調べて、闘病記とかのブログをたくさん読んでしまうだろうな、と思います。不安だし知らずにいられないと思います。

医師の役割は、病気を診断して治すことだけではありません。
こどもや周囲が病気をどうとらえて、それと闘ったり共存したりするかを、サポートすることも大切な仕事であり、メディアリテラシーを助けることも、現在の社会では求められる役割です。

いろいろなことを気軽に相談できるように。
大きく戸をあけて、患者さんと家族を待っていたいな、と思います。

(小児科医 山口有紗)



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<プロフィール>

小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。

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