きょうは健診の日。
たくさんのきょうだいが、赤ちゃんの健診についてきてくれます。
はじめて、下のきょうだいが生まれた、4歳のAちゃん。
いつもどおり、お名前を聞いて、
ついてきてくれてありがとう、と感謝を伝えます。
診察のあいだ、手を握って応援してくれるAちゃん。
どんなところがあかちゃんかわいい?と尋ねると、
「、、、ちいさいところ」
そうだね、とふたりの手を合わせて比べて、
Aちゃんもこんなにちっちゃかったんだよ、と共有。
最後に、Aちゃんはあかちゃんのことで聞いておきたいことありますか、と質問すると、
意を決した表情で「あります」と。
しばらく沈黙があったあと、
「Aちゃんはね、やさしいんだよ」
お父さんとお母さん、あら、じぶんのこと!と笑います。
でも、そうだよね。
赤ちゃんが生まれてから、赤ちゃんのことばっかりだったね。
私も、赤ちゃんのことしか、Aちゃんに聞かなかったね。
でも、Aちゃんは、Aちゃんが優しい子だよっていうこと、
伝えたかったんだね。
Aちゃんも最後にもしもし、しようか、ああ、元気なAちゃんだね、
と握手をしておしまいにしました。
教えてもらったことにじーんと余韻がのこる、Aちゃんのひとことでした。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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