回診をしていると、ある男の子が熱心に、絵本にクレパスでぐるぐる丸を描いていました。
しかも、その横でお母さんはにこにこしてそれを見守っています。
おおおお、、、、
なんてこころの広いご家族。でもいいのかしら、、、
「わわ、塗ってますねー、大胆で素敵ですねー」
と声をかけると、お母さんが、
「これ下の売店で見つけたんですよ」
と表紙を見せてくれました。
"らくがきえほん"みたいな題名で、
絵本のところどころに落書きをしてよいよというコンセプトのようです。
でも、実際には、本の中身はちょっと色彩が控えめなだけで、
普通の本とあまり変わらないような、、、
でも、こうして「落書きしてもオッケー」と保障されることで、
子どもの遊びを見守るおとなの気持ちが安心するのかもしれません。
遊びのなかで、おとなの安心を保障すると、
のびのび時間を過ごすことができるんですね。
目の前の親子がまたひとつ、教えてくれました。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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