聴診器を当ててもしもししているとき、
つい、じーーーっと子どもの目をのぞき込んでしまいます。
泣いている子には、「わるいやつじゃないのよー味方になりたいと思っているよー」と、
にこにこしている子には、「そうだねー、すばらしいー上手だねー」とこころで唱えながら。
ときどきテレパシー的に子どもが泣き止んだり、にこにこの子が黙ってうなずいたりして、
”おおおー通じた!”、ときゅんとなることがあります。ほんとに。
たぶん、目でみつめあって伝えあう力ってすごいんだと思うのですが、
おとな同士では恋人でもない限り、これはなかなかできないですよね(たぶん)。
とちゅうで恥ずかしくなって、目をそらしてしまうんじゃないかなと思います。
小さな子どもは、じっとみつめてもあんまりそらさないので、
こちらが(内心はちょっとときめいてしまってどきどきしながらも)みつめつづけることができ、「まなざし」のパワーを知ることができます。
これ、わたしにとってはけっこう診察の醍醐味なのです。
みなさんのまわりの小さなお子さんとも、もしもチャンスがあったら、ぜひしてみてくださいね、まなざしパワー。
人間の力にびっくりして、きっと性善説がアップすると思います^^
(小児科医 山口有紗)
山口先生のきょうの診察室への想いについてはこちら。
https://www.kidsrepublic.jp/pediatrics/today/detail/vol00.html
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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