休み明けって、学校に行かない・行けない・行くか行かないか悩んでいる子どもにとっては、
ちょっと重たい時期かもしれません。
だれも聞かなくても、季節が自分に問いかけているみたいで。
学校に行けたり行かなかったりする男の子とお母さんが、
「おまもり」に予約していた外来にきました。
おちついていて困っていなかったら、こなくてもいいですよ。
でもおまもりで、これるように、予約をしておきましょうか。
といって何ヶ月か前に予約をしておいたその日。
診察待ちの患者さん一覧にいらっしゃったので、
どうだろうな、と思っていました。
でも待合室で、親子ふたりが、明るい色の服を着て、
陽に灼けて、近く同士に座っているのを見て、
あ、そうか、と思いました。
「なんにもないけど、きました。次の予約はなくてもだいじょうぶです」
涙がでそうになりました。
学校がどう、とかではなくて。
わざわざ来てくれた、その気持ちに。
おまもりがあれば、大丈夫なときも。
おまもりがなくても、大丈夫なときも。
おまもりがあっても、大丈夫じゃないときも。
おまもりなんて信じられないときも。
どんな場所にいる、子どもと家族でも、わたしは愛を持って、応援したいな、と思っています。
ひとりで待つのがしんどいなら、いっしょにいたいなと思います。
みんなにそれぞれのギフトがあるのを知っているから。
わざわざほんとうに、ありがとう。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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