中学生の男の子。
しばらく朝起きられず、頭が痛くて、学校に行きにくい時間が続いていました。
新学期になってから、初めての外来。
最初、着ているジャージの色の話をしていたのですが、
なんだか声のハリが、よいみたい。
それで最近、どうですか、と聞いてみると、
「あ、全然いいっす」
そうなんだね。
「なんていうか、、、、自分的には、ストレスがいろいろあったんだと思います」
いろいろ。
「いろいろ。勉強とか、、、」
勉強とか。
「友達関係とかもいろいろあって。わかんないすけど。中学っていろいろストレスあるんすよ」
うん。
私も中学の時は、今思うと、いろいろあったかもしれないなあ。
「やっぱそうっすよね。振り返ってみれば。わかんないすけど」
しんどい渦中にいるときに、
何で学校にいけないかとか、何かストレスがあるかとか、
聞いてもあんまり、なんというか、有用ではないみたいです。
それよりも、後から振り返って、「いろいろあったからだ」
と言えること。
でもそのいろいろの中身は、振り返ったってはっきりしない場合もあること(フクザツ、という感じ)。
それでいいんだというか、そういうものなのだということを、
流れる時間のなかで子どもたちは感じさせてくれます。
その子が、もう外来には来なくて大丈夫、と初めて言ったので、
このたびで終診になりました。
(小児科医 山口有紗)
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<プロフィール>
小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。
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