きょうの診察室

Vol.76

おやばなれこばなれ

今年もインフルエンザが猛威をふるっていますね。
みなさんとその周りは、どうでしょうか。

子どもがインフルエンザや胃腸炎にかかったときに、
ご家族も、、、ということはもちろんよくあります。
すると、入院が必要になった時に、病棟の管理上、面会や付き添いをお断りしなくてはならないことも。

インフルエンザの合併症で入院することになったあるお子さんのお母さんも、
同じく、インフルエンザにかかっていました。
面会制限についてお伝えすると、それまで不安げながらも気丈にされていたお母さんは、
ぷつんと糸が切れたように泣き崩れました。

「これまでひとりで寝たことがないのに、きっと無理だと思います、、、」

お母さんはいろいろ悩まれましたが、最終的にはがんばってお泊まりすることになったその子。
数日の入院でしたが、ひとりでも眠ることができるようになり、
保育士さんと遊ぶことができるようになり、
ひとり遊びも少しの時間、できるようになりました。
あるいは、実はもともとできたのかも、しれません。

●ちゃん、お母さんがいなくてつらかったけど、がんばったね。
お母さん、●ちゃんがいなくてつらかったけど、がんばりましたね。

入院はつらいこと。でも、病気を治すばかりではなく、
子どもの可能性の壁を病気の勢いで(偶然でも)とりさってみたり、
ご家族が子どもの力のあらためて気がついたりするような、
後押しのチャンスになることもきっとあると信じています。

(小児科医 山口有紗)

山口先生のきょうの診察室への想いについてはこちら。
https://www.kidsrepublic.jp/pediatrics/today/detail/vol00.html



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<プロフィール>

小児科医師。専門は子どものこころ。
目指しているのは、「子どもとその周囲が、少ししんどいときにこそ、安心してつながることのできる社会」。
高校を中退後、単身渡英し、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。
帰国後は京都で働きながら児童養護施設や不登校の子どもとかかわる。
大学入学資格検定に合格後、立命館大学国際関係学部で開発支援や母子保健を学び、約30の国や地域を歴訪。
卒後山口医学部に編入し、医師免許取得。国立国際医療研究センター病院小児科コース研修医、東京大学医学部附属病院小児科、茅ヶ崎市立病院小児科を経て、2017年4月より国立成育医療研究センターこころの診療部や児童相談所などで子ども・家族のこころの診療に従事。
診療の傍ら、子どもに関わる多様な専門家がつながるコミュニティ「こども専門家アカデミー」を主宰している。

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